世界一危険な山はどこ?登山難易度で独自に1位から10位までランキング
出典:www.summitpost.org

人類未踏峰の山を初登頂するのは登山家の夢!

登山家といえば、人類史上初の8000メートル峰全14座完全登頂のメスナーがあまりにも有名。

ただ、世界中には8000メートル峰全14座以外に、難易度の高い山が数多くあります。

ここでは、世界一危険な山はどこなのか登山難易度で独自に1位から10位までランキングしたので紹介します。


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登山歴:2007年~キャンプ歴:1995年~
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九州の大学卒業後、愛知県の自動車会社で車体構造の研究に従事する傍ら、1995年からデスクワークのストレス解消にオートキャンプを始める。

2007年からは、「山頂でテント泊をしたい」との単純な発想から、登山を独学で学び(一時期、山岳会に所属)、今はソロテント泊主体に活動中。

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そんな経験もふまえ、大手メディアでは取り扱っていないノウハウや小ネタ情報を発信しています。





世界の危険な山を登山難易度で独自にランキング

登山難易度の高い山って「標高の高い山」って思う方もおられるかもしれませんが、必ずしも当てはまりません。

例えば富士山と剱岳では富士山の方が高いですが、登山難易度は遥かに剱岳の方が上ですよね?

ここでは、以下の要素を考慮してランキングしました。

要素1:標高が高くて酸素が薄い山

世界一高い山エベレストは8848m。皆さんが乗っている飛行機の巡航高度は1万メートルなので、飛行機とほぼ同じくらいの高さ。

山頂の気圧は平地の3割しかありません。医学的には高度順応なしで、酸素ボンベがないとたった10秒で意識喪失するらしいです。

要素2:絶壁で登ること自体が難しい山

やはり、危険度No.1は絶壁!アイガー北壁の「死の壁」は有名!絶壁に加えて氷の塊など落ちてきたらアウトですよね。

今回紹介する山はすべてこれにあたりますが、特にバインターブラックとか、写真を見ても震え上がってしまいます

要素3:アタックするタイミングが限られる山

例えば、エベレストでは、冬は気温が低すぎ、夏は雪崩の危険で、登山季節は春と秋のみ

その中でも、悪天候を避ける必要あるので、アタックするタイミングが限られます。

要素4:ルートが雪崩の巣となっている山

雪山の表面で起こる表層雪崩のスピードは時速100~200km/h。新幹線並み。

アンナプルナ・K2などはルートが雪崩の巣!難易度高すぎ!

要素5:登山口まで遠くて、行って帰るだけで大変な山

意外に忘れがちなのが、登山口までの難易度。K2など奥地にあることで有名ですが、ヴィンソン・マシフは南極大陸にあるので国レベルの活動も必要。

 

以上の5要素を考慮して、世界の危険な山を登山難易度で独自にランキングしたので、初登頂した登山家も併せて、1位から10位まで紹介します。

世界レベルなので10位といえども生半可なところじゃありません。

1位|アンナプルナ(ネパール)

アンナプルナ ネパール
出典:Wikipedia

標高: 8091 m

死亡率40%の世界一難易度の高い山

世界一危険な山はアンナプルナ!

アンナプルナは標高は世界で9番目ですが、死亡率が40%に達するとのこと。

暴風と雪崩が非常に大きな脅威となっており、特に南側からのルートは世界で最も難易度の高い登山だと言われています。

これまでに登山者191人に対し、死亡者は61人に達しています。まじ、怖いですよね!

詳細はアンナプルナが死亡率30%を超える理由|南側は岩壁の脅威!北側は雪崩の脅威!で紹介しています。

初登頂した登山家:モーリス・エルゾーグ

モーリス・エルゾーグ アンナプルナ
出典:Wikipedia

初登頂は1950年

エルゾーグは山頂付近で誤って手袋を落として失くしてしまい、下山中に嵐に遭い、クレバスの中でビバークを強いられ凍傷で歩くことが困難になり、ソリで下ろされたそうです。

その後、半死半生で撤退し、結局、凍傷により手足の指全ての切断を余儀なくされたとのことです。

ホント、命がけの挑戦!

2位|K2(パキスタン)

K2 パキスタン・中国
出典:Wikipedia

標高: 8611 m

登山難易度は伝説級

雪崩や滑落が起きやすい山で、登山難易度は伝説級で映画にもなりました

奥地にあるため、山に到着するまでに時間が非常にかかることも難易度を上げている要因です。

そのため、8000m級の山では唯一、冬季の登頂がなされてなく、これまでに登頂者300人前後に対して、死亡者数は84人に上っているようです。

詳細はK2の名前の由来も含めてK2の死亡率26.7%はエベレストの7倍!難易度が高い理由は?で紹介しています。

初登頂した登山家:ヴァルテル・ボナッティ

ヴァルテル・ボナッティ K2
出典:Wikipedia

ボナッティには栄光よりも悲しい話があります。

彼は1954年イタリア遠征隊に参加し、初登頂をサポートして成功させました。

ただ、ガイド出身のボナッティに初登頂の栄誉を奪われることを阻止しようと二人の隊員から「ボナッティは自分が登頂したいがため酸素を使ってしまい、自分たちは途中から酸素なしで頂上に達した」と嘘の報告をされてしまいました。

その後、記録や写真が詳細に分析され、二人の嘘がわかりボナッティの名誉は回復されました。

この話は映画にもなり「K2初登頂の真実」で公開。

僕も見ましたが、K2登山の醍醐味も伝わり面白いですよ。DVDでも販売されてますので是非っ!

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史実としての初登頂者

  • 嘘をついた二人の隊員はコンパニョーニとラチェデッリで、最初に頂上に足を踏み入れたのはこの二人
  • なので、この二人が史実としては初登頂者になりますが、ここでは敢えてボナッティを初登頂者としてあります

3位|カンチェンジュンガ(ネパール)

カンチェンジュンガ ネパール・インド
出典:Wikipedia

標高: 8586 m

あまりにも遠い山

世界で3番目に高い山で登頂者はこれまでにたった187人で、これまでに40人が登山中に死亡しています。

死亡率は22%と高く、エベレストが4%弱であることを考えるときわめて高く、難攻不落の山の一つ。

山に到着するのに15日以上も道路のない道を歩かないといけないらしいですよ。

ただ、最近はカンチェンジュンガの麓までのトレッキングツアーが人気。カンチェンジュンガのトレッキングツアーを徹底調査【2023年版】で紹介しています。

初登頂した登山家:チャールズ・エヴァンス

(残念ながら写真見つからず)

1955年に イギリスのチャールズ・エヴァンス隊のジョージ・バンド、ジョー・ブラウンが初制覇したところまでは調査しましたが、詳細はよくわかりませんでした(汗)。

4位|バインター・ブラック(パキスタン)

バインターブラック
出典:www.summitpost.org

標高: 7285 m

3回しか登頂されていない登山家憧れの山

山容がすごくて、鬼を意味する「ジ・オーガ」という名前でも呼ばれており、これまでにたった3回しか登頂されていません

1977年の初登頂から24年たってやっと2人目の登頂者が出たほどです。

岩山は花こう岩で出来ており崩れやすく、高度な登山技術を持っている登山家たちの憧れの山になっているそうです。

詳細はバインターブラックは人類が3回しか登頂していない『人喰い山』と呼ばれる山で紹介しています。

初登頂した登山家:ダグ・スコット

ダグ・スコット バインター・ブラック
出典:Wikipedia

1977年に初登頂

下山中に頂上直下で滑落して両足をくるぶしの位置で骨折し、仲間に助けられ両膝を使って8日かけてベースキャンプまで下山したとのこと。

その間、悪天候に見舞われ5日間は嵐、最後の4日間は食料が尽きたそうです。

も~~、命知らずで、写真もかっこいいですね。

1975年にエベレスト南西壁の初登攀に成功したことでも有名。

5位|エベレスト(ネパール)

エベレスト ネパール チベット
出典:Wikipedia

標高: 8848 m

世界最高峰

ご存知の通り、エベレストは世界一高い山で、最高齢登頂記録を持っている三浦雄一郎さんでも有名な山。

しかし、最近はルートも開拓されており、登山難易度はさほど高くないようです

でも、気象や標高は命取りになり、特に2015年に起きた雪崩では、18人が死亡する最悪の事故となりました。

ノウハウが蓄積されているため、登頂は昔に比べてはるかに容易になっているようで、栄光の1位には輝きませんでした。

詳細はエベレスト登頂の歴史には酸素ボンベの軽量化が重要な役割を占めていたで紹介しています。

初登頂した登山家:エドモンド・ヒラリー

エドモンド・ヒラリー エベレスト
出典:Wikipedia

初登頂は1953年

ヒラリーはそれだけではなく、ヒマラヤ山脈に色々な病院と学校を建てたり、ホントに偉い方。

エベレストとヒラリーの事をもっと知りたい方は映画化されてて、ブルーレイでも見れますよ。是非っ!

チャットでご相談。山キャン情報室では、「○○な情報も知りたい」など、読者様のご質問やご相談に、お答えしています。

6位|デナリ(アメリカ)

デナリ アメリカ
出典:Wikipedia

標高: 6190 m

昔の名前はマッキンリー

標高・悪天候・過酷な気温のいずれもがアメリカ最大の厳しい山。

英語由来のマッキンリーと呼んでたが、2015年からデナリが正式な呼称になりました

名称変更には歴代アメリカ大統領の影がチラホラと。詳細はマッキンリー山はなぜデナリに改名したの?そこには歴代アメリカ大統領の影が!で紹介しています。

冬の山頂の気圧は、ヒマラヤの7000m超級に匹敵し、高山病の危険性もあり。

山頂の気温は夏でも-20℃以下で、これまでに-73.3℃の最低気温を記録しているそうです。

登頂の成功率は50%で、植村直己さんもここで遭難死しています。ご冥福をお祈りします。

初登頂した登山家:ハドソン・スタック

ハドソン・スタック デナリ
出典:Wikipedia

初登頂は1913年

その時の言葉「デナリの頂上から見る景色は天国の窓から眺めているようだ」は有名。

7位|アイガー(スイス)

アイガー スイス
出典:Wikipedia

標高: 3970 m

北壁は「死の壁」

いくつかの登山ルートがありますが、その中でも北壁は「死の壁」と呼ばれて、恐れられています。

岩壁の標高差は1800mで、雪や氷で覆われており、64人の登山者がアイガーに挑戦し、命を落としているそうです。

死の壁といわれているのには、アイガー独特の地理関係と過去の悲劇がありましたが、詳細はアイガー北壁で2年間も宙吊り!映画の「トニークルツの遺体回収」以外にも悲劇が!で紹介しています。

初登頂した登山家:チャールズ・バリントン

チャールズ・バリントン アイガー
出典:Wikipedia

初登頂はマッターホルン同様に結構古くて、150年ほど前の1858年に、スイス人の登山ガイドと共に成功しています。

写真、古くてすみません。

8位|セロトーレ(チリ)

デビッド・ラマ
C出典:クライマー パタゴニアの彼方へ

標高: 3128 m

尖った形状がすごい

チリのパタゴニアの氷原にあり、山頂は4つ。見るからに怖い。

標高は富士山より低くて高くはないですが、山頂は氷の塊でおおわれているため、これが登頂を難しくしています。

厳しすぎます!

初登頂した登山家:チェザレ・マエストリ

チェザレ・マエストリ セロトーレ
出典:Wikipedia

1959年に初登頂していますが、マエストリには、初登頂後、いろんな話があるようです。

一緒に登った登山家が下山中に転落して亡くなり、その際に撮影した写真機も転落したため、登頂した証拠がなく、本当に成功したのか騒動に!

数年後、登った事を証明するために再び登り、その際にエアーコンプレッサーで岩壁にドリルで穴を開けボルトを多数打ち込み、アブミを使って登ると言う手段を取ったため世間を騒がせたそうです。

栄光と転落は紙一重かもしれません。

なお、セロトーレは「クライマー パタゴニアの彼方へ」と題して、フリークライマー デビッド・ラマを主人公にした映画化もされています。

詳細はセロトーレはまるでナイフの刃!初登頂から数多くの事件を経て映画化へで紹介しています。

9位|マッターホルン(スイス)

マッターホルン スイス
出典:Wikipedia

標高: 4478 m

見るだけでもぞっとするようなツノのように切り立った峰が特徴的

有名な山で標高は比較的低いですが、簡単に登れる山ではありません。

これまでに、500人がこの山で命を落としており、今でも毎年2~3人の死亡者が出ています。

マッターホルンの難しさはなんといっても絶壁!

頂上には写真の絶壁を踏破する必要ありますが、落石に見舞われたらひと塊もないです。

絶壁の高低差は1000m以上!落ちたらまず助からないでしょう。

特に北側の絶壁は、世界三大北壁と呼ばれ、非常に困難なルート。

詳細はマッターホルン登山はガイド同行でも、体力面・技術面で難易度高いで紹介しています。

初登頂した登山家:エドワード・ウィンパー

エドワード・ウィンパー マッターホルン
出典:Wikipedia

初登頂は結構早くて、150年以上前の1865年

ただ、下山時に1000m以上滑落して多くのパーティを失ったとのことです。

ホント、命がけですね!

10位|ヴィンソン・マシフ(南極)

ヴィンソン・マシフ 南極大陸
出典:Wikipedia

標高: 4892 m

南極大陸にある最高峰で1958年に発見されたばかり。

1966年の初登頂以来、1400人近くの登頂者がいます。

この山の恐ろしいところは、寒さと風!

南極は山の風速は時速80kmを超えます。事故や病気などになったら、病院はチリにしかないらしく、最低でも1週間はかかるそう。

南極大陸まで行くことも含めて費用も500~1000万円ほどかかるそうで、国レベルでの活動が必要なので、それも含めて難攻不落ですね。

詳細はヴィンソンマシフの難易度は?極寒と強風ながら、登山ツアーもある不思議な山で紹介しています。

初登頂した登山家:ニコラス・クリンチ

ニコラス・クリンチ ヴィンソン・マシフ
出典:Wikipedia

初登頂は1966年で、ニコラス・クリンチ率いるアメリカ隊!写真は晩年のニコラスさん。

まとめ

以上、世界一危険な山はどこなのか登山難易度で独自に1位から10位までランキングしましたが、如何でしたか?

結果、独自ランキングではアンナプルナが世界一危険な山となりました。

初登頂した登山家も栄光の座につきながら、不運な人生を送った人も数多くいましたよね?

僕は山は楽しむものだと思っていますが、こんな山への取り組みも、「人生」を感じさせられました。

皆さんも「何故、山に登るのか?」、自分に問いただしてみても面白いかもしれません。