
こんにちは、山キャン情報室 管理人の亀太郎です。
標高が世界第二位のK2。
山好きの人なら、誰でも知っていると思いますが、ここでは、K2の難易度として、死亡率26.7%にも達する伝説級の難易度の理由を解説します。
現地時間2021年1月16日、ネパールの登山隊10人が未踏峰の冬季登頂に初成功という報道が世界中に流れました。
- 登頂した登山家が「とても特別な瞬間だ。共同作業やチームワーク、前向きな姿勢が可能性の限界を引き上げた」とTwitterで報告。さすがSNSの時代ですね。
- 頂上の10メートル下から、登頂者全員でネパール国歌を歌いながら登頂したらしい。
- 10人同時とはすごく、ネパールチームの総合力が結集したようです。
- 酸素ボンベは一部を除いて使用(やはり、無酸素登山は厳しいんですね)。
- 一方で、スペインの登山家が登頂後ベースキャンプに戻る際に滑落事故で亡くなったそうです。ご冥福をお祈りします。
- この記事を書いている人
登山歴:2007年~キャンプ歴:1995年~ - 九州の大学卒業後、愛知県の自動車会社で車体構造の研究に従事する傍ら、1995年からデスクワークのストレス解消にオートキャンプを始める。
2007年からは、「山頂でテント泊をしたい」との単純な発想から、登山を独学で学び(一時期、山岳会に所属)、今はソロテント泊主体に活動中。
そんな経験もふまえ、大手メディアでは取り扱っていないノウハウや小ネタ情報を発信しています。
K2は死亡率26.8%の伝説級の難易度

K2(ケーツー)は、パキスタンの最高峰でカラコルム山脈の最高峰。
標高は8,611mで、エベレストに次ぐ世界第2位の高さ。
2012年でK2の登頂に成功した人数はわずか306名。その時点のエベレスト登頂者数は5656人なので、エベレストに比べて17分の1程度の人数。
さらに、K2の死亡率は26.8%で、登山した人の4人に1人は命を落としています。
K2の攻略の困難さを物語っていますよね。
その難易度から、K2について書かれた書籍でも「非情の山」と呼ばれたそうです。
K2が伝説級の難易度と呼ばれる理由
K2は中国側(北側)からアプローチするのは困難なため、ほとんどの登山者はパキスタン側からアプローチ。
登頂の難しさでは世界最高峰のエベレスト(標高8848m)よりもはるかに上で、世界一登ることが難しい山とも言われ、その理由は以下の3点。
- アプローチの困難さ
- 気象条件
- 急峻な山容による雪崩、滑落の危険性
その理由を掘り下げてみると、こんな感じです。
①アプローチの困難さ

K2にたどり着くには、氷河を1週間ほどかけて歩く必要あり。
そのため、K2を登るには多くの日数が必要となり、短くても3ヶ月は必要となってきます。
その生活の中心となるベースキャンプの標高は富士山3776mよりも高い5000m付近。
頭がクラクラしそう(笑)。
②気象条件
5~9月が雨季に当たり、9月中旬ごろから翌年の4月まで強い風が吹き徐々に厳しい寒さに変わります。
標高7000メートルより上では風の強さが時速60キロメートルに達することも珍しくなく、最低気温はマイナス50度を下回ることも。
そのため、8000メートル級の山で冬季登頂が成功していない山は現在K2だけ。
最近でも、2018年にポーランドの登山隊が冬季での登頂を目指しましたが、断念したとのこと。
③急峻な山容による雪崩、滑落の危険性
エベレストは1953年に初登頂が成功して以降、多くの人々がノウハウを蓄積して道を切り開いてきました。
一方、K2は一般的なルートでさえ、エベレストのバリエーションルートに匹敵するといわれています。
現在では、比較的安全と言われるルートも確保され、シェルパと呼ばれる経験豊かなガイドを付けることもでき、ガイドツアーもあるようです。
3つの理由を改めて考えてみても、「非情の山」ともいわれる伝説級の難易度がよくわかります。
K2の初登頂は映画化もされており、「K2 初登頂の真実」として映画にもなったK2の初登頂とその後の歴史で書いてますので、良かったらどうぞ。
最後に、参考としてK2の名前の由来を載せておきます。
K2の「K」はカラコルムの「K」
K2という頭文字は「カラコルム山脈測量番号2号」を意味するそうです。
人里から遠く離れた奥地にあるため、19世紀末まではほとんど人々に存在を知られることもなく名前すら無し。
そのため、イギリス統治時代にインドの測量局が1856年からカラコルム山系の測量して、その中で、特に標高が高い山々にK1、 K2、 K3、,… と測量番号を付けたそうで、K2はその中のNo.2という番号をもらったという訳です。
その後、英探検家の名前をとって「ゴッドウィンオースティン山 」やチベット語系のバルティ語 で「大きい山」を意味する「チョゴリ」とも呼ばれたそうで、K2以外の山は新たに名前が付けられたが、K2だけは測量番号がそのまま山名に残ったそうです。
まとめ
以上、K2の難易度として、死亡率26.7%にも達する伝説級の難易度の理由を解説しましたが、いかがでしたか?
K2の難易度を知れば知るほど、人はなぜ山に登るんだろう、って思えてきます。
山に登る目的は人により異なるかとも思いますが、皆さんも、一度、自問自答してみたらよいかもしれません。
読んでいただきありがとうございます。
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