
こんにちは、山キャン情報室 管理人の亀太郎です。
日本百名山の一つの伊吹山(滋賀県)は、私の住んでいる愛知県から高速使うと車で1時間半程度と近いため、毎年登ってます。
夏は耐暑訓練に近い酷暑の山ですが、冬は琵琶湖を一望しながら登れる最高の山。
一般には『難易度は低く雪山の初心者コース』として紹介されていますが、毎年登っていると、その時の雪の状態で難易度がコロコロ変わることを実感します。
そんな実体験を元にここでは、伊吹山で冬登山として難易度は低いが、ピッケル・重アイゼンは装備した方が良い理由を紹介します。
ドカ雪の後の雪山は雪崩の危険あり、難易度低いとはいえ、十分注意するように心がけて下さい
状況はこんな↓感じです。
- 6合目から山頂に向かって200mほど進んだ地点で、斜面の雪が幅およそ50メートル、長さおよそ100メートルにわたって崩れる
- 登山者4人が巻き込まれ、3人は自力で脱出したあと、残る1人を助け出して近くの6合目の避難小屋に避難
- その後、警察や消防に全員救助され下山。1人が頭や腰にけがをして病院に搬送されたが命に別状なし
- 年末年始からのドカ雪で、二日前から「なだれ注意報」が出ていた
詳細はNHK NEWS WEBを参照ください。
- この記事を書いている人
登山歴:2007年~キャンプ歴:1995年~ - 九州の大学卒業後、愛知県の自動車会社で車体構造の研究に従事する傍ら、1995年からデスクワークのストレス解消にオートキャンプを始める。
2007年からは、「山頂でテント泊をしたい」との単純な発想から、登山を独学で学び(一時期、山岳会に所属)、今はソロテント泊主体に活動中。
そんな経験もふまえ、大手メディアでは取り扱っていないノウハウや小ネタ情報を発信しています。
伊吹山の冬登山は難易度は低いものの、ルートと雪の状態で変わる

冬の伊吹山は、滑落するような尾根歩きはなく、雪山登山の初心者コースですが、入山前の降雪量や入山時の気温・天候で難易度はコロコロ変わります。
ここでは、上野登山口からの入山を前提に、ルートを4つに大きく分けて、難易度を紹介しますね。
① 登山口~1合目(樹林帯)

上野登山口から1合目までは樹林帯。夏だと涼しくて気持ちいいコースですが、冬は入山前の積雪量で大きく変わります。
基本、ツボ足で登れますが、場合によってはここからアイゼンを付けた方が登りやすいことも。
ここの最大の問題は、下山時の気温上昇。
雪の少ない時も含めて、凍り付いた登山道が溶けて、下山した時は靴がほぼグチャグチャ(僕の経験では100%グチャグチャ)。
30分もかからないコースですが、冬の伊吹山の最大の試練の場かもしれません。
昔はスキー場のゴンドラで3合目から降りるって方法もありましたが、今は経営していないので、ここを通るしかありません
② 1合目~5合目(やや傾斜のある平原)

1~5合目は楽しい雪原歩き。山スキーの方のシュプールが奇麗ですよね。

基本的には踏み後をたどっていくコースですが、雪の多い時はワカンやスノーシューあれば、新雪の中を歩けます。
ここは亀歩きの僕のオススメですが、雪の多い下山時は雪が緩んで、うっかりすると腰のあたりまでハマることもあるので、要注意。
③ 5合目~9合目(直登コース)

5~9合目は登山道を通らない直登コース。
7号目付近から傾斜が急になり、8合目から9合目は急斜面。

この8~9合目が入山前の積雪量や当日の気温によって難易度が大きく変わるんですよね。
なので、冬山の初心者コースといえども、重アイゼンは必須で、ピッケルはあった方が良いかと(詳細は後から)。
④ 9合目~頂上(緩やかな平原)

9合目を過ぎると広い平原になり、樹氷を眺めながら『お菓子の家(上の写真)』の頂上まで10分ぐらい。
お菓子の家は冬季は避難小屋にもなってますが、広さは3畳ぐらいで食事はできません
ただ、9合目から頂上までは、遮るものがないので、一気に強風になることが多いです。
頂上にはタケル君(日本武尊)が鎮座しているので、かならずここで記念写真を!

冬の伊吹山登山の必須装備・保険装備・快適装備

以上をふまえると、伊吹山で冬登山の装備はこんな↓感じ。
- 必須装備:重アイゼン(10本歯以上)
- 保険装備:ピッケル
- 快適装備:スノーシュー・ヒップそり
次に、その理由を、アイゼン・ピッケル・スノーシュー・ヒップそりの順に説明します。
伊吹山の冬登山では重アイゼンを装備した方が良い理由

8~9合目の急斜面を登るには、重アイゼンは必須装備だと思います。
気温が高く雪が締まっていない時は、6本歯の軽アイゼンで登れますし、実際に軽アイゼンでも登っている登山者は多くいます。
ただ、雪が締まっている下山時は重アイゼンじゃないと危険。

過去に、9合目付近で僕の10mぐらい上を下山していた女性の登山者が、目の前に滑落してきたことがあります。
なんとか避けたので問題はありませんでしたが、その後、その方は50m近く下まで落ちていきました。命に別状はなかったようですが、その方は軽アイゼンでした。
伊吹山の冬登山ではピッケルも装備した方が良い理由

伊吹山は尾根歩きやトラバースなどはなく、ストックで十分登れるので、ピッケル持参の方は半分以下。
ただ、ここでも、8~9合目の急斜面の下山が問題となります。
ストックの場合、こんな↓感じで下山することになるのですが、締まった雪面はストックでは不安定。

滑落しても死ぬことは無いと思いますが、他の方に大迷惑をかけてしまう可能性あり。
ストックの登山者からは『伊吹山なのでピッケル要らないと思ってたが、持ってくればよかった』とよく言われます。
雪の状態によってはピッケル使わないこともありますが、保険装備として持って行くことを是非オススメします。
アイゼン・ピッケル以外の装備もあれば楽しい
スノーシューがあればルンルン【2~6合目】

2~6合目は、踏み後をたどっていけば、ツボ足orアイゼンで十分ですが、スノーシューがあるともっと快適。
こんな↓新雪の上を歩くのは、ホント気持ちいいですよ。

最初はワカンで歩いてましたが、やっぱ、スノーシューの方が浮力も高いし、快適ですよね。

2→1合目の下山:天気が良くて暖かい日は、雪が腐っているので、ツボ足で踏み後をたどった方がいい。僕は新雪と思い、ワカンでハマったことがあります(泣)。
ヒップそりがあれば楽ちん【6~8合目】

伊吹山に行くとこんな↓姿をよく見ます。

下の写真は8合目付近から琵琶湖を眺めたところ。爽快ですよね。

こんな時は童心に帰ってヒップそりで遊びましょう。

まとめ
以上、伊吹山で冬登山として難易度は低いが、ピッケル・重アイゼンは装備した方が良い理由を紹介しましたが、いかがでしたか?
快晴を狙えば、琵琶湖が眼下に広がって、爽快な登山が楽しめますよ。
行ってみようかなって思われている皆さん、参考にしてください。