
こんにちは、山キャン情報室 管理人の亀太郎です。
登山に行くと、山頂で必ずやる儀式”三角点タッチ”。
でも、そもそも三角点って何を意味しているのか、あまり考えたことはないのでは?
ここでは、登山で三角点を見つけて三角点タッチしている登山者も意外と知らない三角点の意味について、紹介します。
- この記事を書いている人
登山歴:2007年~キャンプ歴:1995年~ - 九州の大学卒業後、愛知県の自動車会社で車体構造の研究に従事する傍ら、1995年からデスクワークのストレス解消にオートキャンプを始める。
2007年からは、「山頂でテント泊をしたい」との単純な発想から、登山を独学で学び(一時期、山岳会に所属)、今はソロテント泊主体に活動中。
そんな経験もふまえ、大手メディアでは取り扱っていないノウハウや小ネタ情報を発信しています。
そもそも三角点って?
三角点は日本地図の骨格

国土地理院が標高も含めて緯度、経度、方位を測定する三角測量のための基準点で、三角点は日本地図の骨格。
そこにおいてある標石が三角点。
1等三角点は正点で約45キロメートル間隔、補点は正点を含めて約25キロメートル間隔で設置されています。
その1等三角点網が、こんな↓感じで、全国にはりめぐらされています。

1等三角点の山は、視界が効くように木などが刈られているため、眺望がよく、登山者にとって魅力となっているんですよね。
三角点は1等から4等まであり、標石の大きさが違う
1等三角点だけだと粗すぎるので、1等三角点を含めて約8㎞間隔に2等三角点を設定。
更に、2等三角点を含めて約4㎞間隔に3等三角点、更に約2㎞間隔に4等三角点を設けて地形図を作成しています。

要は、1等三角点の大きな網目をどんどん細かくして言っているイメージね
標石の大きさは等級によって異なっており、1等三角点の標石は18センチ角、2等と3等は15センチ角。
標石側面には等級も刻まれています。
そもそも三角測量って?
工事現場で、三脚を立てて、工事関係者の方が望遠鏡のようなものを覗いてますよね?
三角測量しているんですが、簡単に図解すると、こんな↓感じ。

点Aと点Bは既に位置関係が分かっているけど、点Cの位置を知りたい。
そんな時に、三脚立てて、点Aと点Bから、点Cに対する角度を測定し、点Cの位置を確定していくのが三角測量。
細かくなったので、三角点の説明はこれぐらいにして、次に、登山者が意外と知らない三角点について紹介しますね。
登山でよく見る三角点は山頂にある?

山頂に必ず三角点があるとは限りません
理由は単純で、近くの山に三角点が設置した山があるから。
他にも、三角点について、こんな↓意外と知らないことがあります。
- 測量することが目的で三角点はあるので、山だけでなく平地にもあります。
- 測量するために三角点の多くは見晴らしのいい場所に設置されています。
- 測量優先なので、等級が高いほど有名な山、高い山というわけではありません。
- 山によっては最高地点=三角点の場所とも限りません。
登山でよく見る三角点は氷山の一角
三角点はこんな標石。

これ、記念に持って帰りたいと思った事ありませんか(笑)?
でも、絶対不可能!
なぜなら、見た目は小さいですが、三角点はこんな↓感じで地中に埋まっており、見える部分は氷山の一角です。

等級で大きさが違いますが、構造はほぼ同じで、ちなみに1等は90kg、4等は40kg
ちなみに、こんな↓三角点って見たことありませんか?

これって、三角点を埋めた後に、浸食によって地面が掘り起こされてしまっているんですよね。
ここは、立山から五色が原経由で薬師岳に縦走する時に通らなければいけない越中沢岳の山頂の三角点。マイナーな山なのに超しんどくて、僕みたいに蹴とばして、浸食したのかも(笑)。
登山でよくみる三角点の十字架は何を意味する?
三角点の標石の上には、こんな↓感じで、十字架が掘ってありますよね?

過去に在籍した山岳会の先輩から聞いたのですが、こんな言い伝えがあるそうです。
十字架は東西南北の方向
側面に彫ってある『三角点』を正面にして、十文字の上が北で、下が南
なので、近場の愛知の山の三角点にコンパスを置いて試してみました。
- 五井山の山頂(三河湾沿いの低山):ピッタリ合ってます

- 碁盤石山 山頂(東三河の低山):ピッタリ合ってます

- 竜ヶ岳 山頂(鈴鹿の低山):これも、ピッタリ!

それ以外にも、いろんなところで試しましたが、ピッタリ合ってました。
が、こんなことも!
- 大川入山 山頂(恵那山近くの低山):合わない!!!!

念のため、同行の山友のコンパスも合わしてみましたが、合っていませんでした!!!

でいたらぼっちが三角点を回したん???
十字架は東西南北の方向を表す言い伝えは、100%信じていいのかわかりませんが、大まかには合っているのかと。
小説『点の記』は登山での三角点の大事さがよく分かります
小説『剱岳 点の記』は新田次郎の山岳小説。
そもそも、点の記(てんのき)とは、基準点(三角点・水準点・基準多角点など)の設置・測量の記録のこと。
明治時代末期に、陸軍の測量部(現在の国土地理院)によって、実際に北アルプスの立山連峰で行われた山岳測量プロジェクトを扱った、こんな↓小説です。
これを読めば、三角点の意味が非常によくわかります。あらすじ↓。
明治39年、参謀本部陸地測量部の測量官・柴崎芳太郎に未踏峰とされてきた剱岳への登頂と測量の命令が下った。それは日本地図最後の空白地帯を埋めるという重要かつ困難を極める任務であった。
山麓の山案内人とともに測量に挑んだ男たちは山岳信仰から剱岳を畏怖する地元住民の反発、ガレ場だらけの切り立った尾根と悪天候・雪崩などの厳しい自然環境、日本山岳会との登頂争い、未発達な測量技術と登山装備など様々な困難と戦いながら測量を行うが…。
引用元: ☆Wiki Pedia☆
なお、2009年に映画化もされて、日本アカデミー賞を総なめしましたよ。詳細はここ↓。
まとめ
以上、登山で三角点を見つけて三角点タッチしている登山者も意外と知らない三角点の意味について、紹介しましたが、いかがでしたか?
三角点の十字架の言い伝えは、まだ、完全に解明できていませんが、何か情報があれば、問い合わせから教えていただければ幸いです。
まぁ、深く考えずに、”三角点タッチ”して遊びましょう。