登山で『登り優先』なのはなぜ? 背景を整理すると『下り優先』の場合も
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こんにちは、山キャン情報室 管理人の亀太郎です。

登山道ですれ違うときは『登り優先』というルール、知ってますよね。

でも、疑問を感じる時もあり、これってなぜできたんだろうって、その背景を整理すると『下り優先』の場合も。

ここでは、どんなケースが『下り優先』なのかも含め、紹介します。


この記事を書いている人
登山歴:2007年~キャンプ歴:1995年~
この記事を書いている人
九州の大学卒業後、愛知県の自動車会社で車体構造の研究に従事する傍ら、1995年からデスクワークのストレス解消にオートキャンプを始める。

2007年からは、「山頂でテント泊をしたい」との単純な発想から、登山を独学で学び(一時期、山岳会に所属)、今はソロテント泊主体に活動中。

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そんな経験もふまえ、大手メディアでは取り扱っていないノウハウや小ネタ情報を発信しています。





登山で『登り優先』なのはなぜ?

『ルール』と『マナー』の中間

ルールというよりマナーに近い
出典:いらすとや

後で紹介しますが、『登り優先』というのは

  1. 安全面
  2. マインド面

の2つからできています。

1の安全面からは『ルール』になりますが、2のマインドは『マナー』ですよね。

なので、少し曖昧ですが『登り優先』はルールとマナーの中間だと思った方がいい

マナーとはいえ困る時も

困った顔
出典:いらすとや

自分が登っている時のすれ違いで、こんな経験ってありませんか?

相手:『お先にどうぞ〜』

上を見るとすれ違いの場所が狭く、自分の場所の方が安全にすれ違えそう〜

僕:『そっちは狭そうだから、お先にどうぞ〜』

相手:『いえいえお先にどうぞ〜』

どうも動く気配なし(^^;;

とほほほ。。。。

マナーに固執しすぎないで

逆に、先に下りた方が安全だと思い『すみません〜先に下ります〜』って下り始めると、『(俺のほうが優先なのに)』って、嫌な顔する登山者も^^;

こんな例に象徴される様に、マナーに固執しすぎない方がいい。

『登り優先』となった背景を理解することが重要

講義するモグラ
出典:いらすとや

なぜ『登り優先』なのか、その背景を整理すると、背景はおおむね3つ。

  1. 下り優先だと落石や滑落した時に危ない
  2. 登りの人は足元を見がち
  3. 登りの人のペースを乱さない

次に、その背景の詳細を1つづつ紹介します。

登り・下りの定義

当然ですが、「登り」というのは、山頂へ向かっていることではなく、「斜面が登りか下りか」で判断するものです(笑)

『登り優先』となった3つの背景

背景1:下り優先だと落石や滑落した時に危ない(安全面)

下る登山者
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登りよりも下りの方が滑落(転倒)しやすく、落石を起こす危険が大きい。

特に、落石は、たとえ小さな石でも落ちる間に加速して大きな事故に繋がってしまいます。

なので、下り優先だと上に居る人が下に居る人に向かって何かを落とし、被害を及ぼしてしまう可能性が高まる

背景2:登りの人は足元を見がち(安全面)

登りの人は足元を見やすい
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経験のある方は分かると思いますが、しんどい時はなかなか上を見る機会って少なく、斜面を登っている状況では、視界が狭くなります。

逆に、下っている人はどうでしょう?

下りでももちろん足元を見ますが、斜面の下の方を見ているので、結構視野は広く気づきやすい。

なので、あらかじめ止まり、安全なところに身を置いて、登ってくる人に道を譲る方が安全

背景3:登りの人のペースを乱さない(マインド面)

バテ気味の登山者
出典:いらすとや

登山は一定のペースで歩くのが基本。

特に、長い登りは辛いので、下りの人とすれ違う時もペースを変えたくない。

なので、ぜぇぜぇはぁはぁしてる際に、下りの人から『お先にどうぞ〜ゆっくりでいいですよ〜』って譲ってもらえたら嬉しいですよね〜


要は、

安全面・マインド面から、余裕のある下りの人が状況判断すること

なので、状況によっては『下り優先』の場合もあり、安全面・マインド面に分けて、次に紹介します。

道を譲る時の基本

  • すれ違う際にぶつかった拍子に谷側へ落ちる危険があるので、山側に可能な限り身を寄せる(止まっている方がバランスを崩しやすい)
  • ザックは必ず山側に(相手に当たると危険)

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『下り優先』と考えた方がいい場合(安全面)

❶下りの人が避けるスペースがない場合

下の人がよけるスペースがない
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これは、先に説明したように、上側に安全にすれ違う場所がないなって判断した際のこと。

自分が下っている時は、『こっちは狭いので、先に下ります〜』って声をかけて先に下りましょう。

逆に、自分が登っている時は、『そっちは狭そうだから、お先にどうぞ〜』って声をかけて、先に下ってもらいましょう。

❷登りの人を先に行かせる方が危ないと判断した場合

初心者歓迎
出典:いらすとや

下っている際にたまに目にするのは、ゼェゼェハァハァって大汗かいて登ってくる人

見るからにバテバテで多分登山経験の少ない方で、そういう人に『お先にどうぞ〜』って声を掛けたら、慌てて登ってくる場合あります。

これ、最悪の不安全パターン。

そんな時はアイコンタクトをとって『お先に下りますね〜お疲れ様〜』が一番いい

❸渋滞の鎖場やはしごを通過する場合

鎖場を通過する場合
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鎖への取りつきは安全面から1人ずつが基本なので、渋滞が生じることも多々ありますよね。

そんな時は待機する場所の混み具合で優先度を決めるべきで、登り・下りのどちらが優先と言うルールはありません。

例えば、下り待ちの待機場所が狭い岩場で混雑していることを想像していただければ良いかと。

下の人からはその状況はよくわからない。

そんな時は、「待機場所に人が多くて危ないので、先に下りてもいいですか?」っと、声をかけていきましょう。

ハシゴを通過する場合
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はしごでも同じ。

渋滞のしない時間帯や季節を選んでいく方がもっと安全。。。

❹岩場ですれちがう場合

岩場でのすれちがい
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3点支持で登り下りするような長めの岩場は厄介。

とりついた途中ですれ違う事なんて危なくてできませんよね。

上の待機場所が混雑しそうなら、早めに声をかけて下ることを優先した方がいい。

最後に、マインド面から『下り優先』の場合を紹介します。

『下り優先』と考えた方がいい場合(マインド面)

❶大人数のパーティで登っている時

大人数のパーティで登山
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例えば、10人パーティで登っている時に下っている方が待機しているケース。

待ってくれてる人はまさか10人も連続するとは思っていないはずで、そのまま通過するとなかなか下れないことに。

そんな場合は、先頭の人が『人数が多いので先に下ってください』と声をかけるべき。

要は、互いに声かけし、ゆずり合うことが大切。

❷紅葉時期の涸沢の様に混雑している所を下っている時

紅葉時期の涸沢登山の渋滞
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登り・下りとも大混雑している登山道で『登り優先』を厳守した場合を想像してみてください。

当然、下りの方がどんどん溜まってきて大ブーイングですよね〜

そんなケースでは『下り優先』の場面もあるかと。

まとめ

以上、登山で『登り優先』なのはなぜ?なのか背景を整理すると、『下り優先』の場合もあるということを紹介しましたがいかがでしたか?

一部例外もありますが、安全面・マインド面から、余裕のある下りの人が状況判断することが大切かと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。