こんにちは、山キャン情報室 管理人の亀太郎です。
みなさん、登山で雷に遭遇したことありますか?
雷は街中でも怖いですが、登山中ではその怖さは半端ありません。では、どうすればいい?
最も重要なことは、雷に遭遇した体験談から学んだ”雷とばったり遭遇する確率を下げる”ことだと思いますので紹介します。
- この記事を書いている人
登山歴:2007年~キャンプ歴:1995年~ - 九州の大学卒業後、愛知県の自動車会社で車体構造の研究に従事する傍ら、1995年からデスクワークのストレス解消にオートキャンプを始める。
2007年からは、「山頂でテント泊をしたい」との単純な発想から、登山を独学で学び(一時期、山岳会に所属)、今はソロテント泊主体に活動中。
そんな経験もふまえ、大手メディアでは取り扱っていないノウハウや小ネタ情報を発信しています。
登山で雷に遭遇した体験談から学んだこと
まずは、僕の体験から紹介します。
登山で雷に遭遇した体験談
雪山の経験を積みたいと思い、山岳会に入会してすぐのこと。
春の残雪期登山として白川郷近くの『猿が馬場山』に登った。
頂上付近は雲はありましたが、青空も見えてるぐらい。
山岳会の会長・副会長も同行しており、この界隈は知り尽くしている経験豊富な方ばかり。
頂上でゆっくり昼食タイムしていたら、突然、雷がドカ〜〜ンって近くに落ちた!
まったく前触れもない落雷!
このまま、雪洞を掘って身を隠すか、緊急下山か、リーダー・サブリーダー間で協議。
このまま居ても危ないので『緊急下山』に!
ピッケルはバンドで雪面を引っ張りながら、30分ぐらいかけて樹林帯に逃げ込むはめになりました。
緊急下山中も雷はバンバン落ちるし、マジで生きた心地がしませんでした。
山岳会の会長さん曰く、
『何十年も登ってきたが、こんな風に前触れなく雷が落ちたのは初めて』
生きて帰れてよかったです(笑)
雷に遭遇した体験から学んだこと
下山した後に反省会を実施。
山頂に着く前から雲が湧いている状態ではあったが、雷を予測することは難しい。
結論は
最も重要なことは ”雷とばったり遭遇する確率を下げる” こと
では、どうすれば雷と遭遇する確率を下げれるのか、次から4つ紹介します。
登山の雷対策❶ 『早出早着』でリスクを減らす
「早出早着」とは、読んで字のごとく、朝早く出発して午後の早くに到着するということ。
これ、登山の鉄則(特に夏山)。
山の雷は午後から発生しやすい
登山では午後2時以降は行動しないことが基本。
専門誌にもこんな↓解説あります。
私が夏山で一番怖いものは落雷です。夏は平野部でも積乱雲が発達して夕立や落雷がありますよね。山ではこれが正午頃から起こりえます。山腹で積雲が湧いてきて稜線を覆っていきやがて発達して積乱雲となります。。。私のガイド山行では午前5時頃の出発はあたり前で、落雷の危険がある午後2時以降は行動をしないようにしています。
引用元: 好日山荘ガイドコラム
「早出早着」って言葉を知っていますか?読んで字のごとく、朝早く出発して午後の早くに到着するということです。呪文のようなこの言葉は登山の基本でもあり少しでも山の危険リスクを減らすためにも重要なことなのです。特に夏山では午前中は晴れていても午後から夕方にかけてにわか雨や雷雨が必ずといっていいほどあります。
引用元: 山と渓谷オンライン
『早出早着』の例
午後から行動しないためには、早朝からの行動が必須。
例えば、新穂高のわさび平小屋を朝4時出発↓。
そうすれば、亀歩きの僕でも14時前には双六小屋に着ける。
この時は、テント設営後、ビールを飲んでいたら、予想通り夕方4時頃から雷雨に。
稜線上を歩いていたら、やばかっただろうなって^^;
この時は雷雨がおさまるまで山小屋に移動してました〜
登山の雷対策❷ 稜線に出たら雷雲が見えないかチェック
稜線上がもっとも危ない
樹林帯でも雷のリスクはありますが、何も遮るものがない稜線上がもっとも危ない。
なので、稜線上に出たら、まず、周りを見渡して雲を探しましょう〜
どんな雲を探せばいいんだろう?
では、雷の落ちやすい曇ってどんな雲でしょうか?
雷の起こりやすい雲は積乱雲。
積乱雲は、上昇気流によって発生する雲で、上部は平らで、下部は重たく垂れ下がっています。
こんな↓感じ。
街でも夏の暑い時の夕立前によく見る雲ですよね。
厳密にいうと積乱雲と雷雲は違うそうですが、大雑把にいうと、雷雲と思って良いかと。
こんな雲の真下は落雷の可能性があるので、到着予定の場所を変えるなり、下山するなり、計画を変えた方がいい。
登山の雷対策❸ 遠〜くからでも『ゴロゴロ』と聞こえたら安全な場所へ移動
触らぬ神には祟りなし
遠くから雷のゴロゴロが聞こえてくることも。
”登山あるある”ですが、怖さを知っている熟練者の方がビビって『早く安全な場所へ逃げよう』ってなる。
では、どんな場所が安全なんでしょうか?
安全な場所とは
車の中やコンクリートの建物内などは安全な場所といえますが、それ以外は安全な場所など存在しません。
なので、雷に遭遇する確率を下げる場所と捉えるしかありませんが、こんな↓感じです。
- 山小屋の中(テントや掘立小屋はNG)
- 今居る所よりも少しでも低い所(ハシゴ・鎖場はNG)
- 樹林帯など周囲より自分が突出しない所(川原・草原はNG)
- 大きな木があればそこから離れる(詳細は後述)
登山の雷対策❹ 天気予報をこまめにチェック
行動前は『1日の天気予報』をチェック
天気予報チェックは登山の基本の『キ』なので、必須ね。
行動中は『雷ナウキャスト』で1時間先をチェック
気象庁から出されている『雷ナウキャスト』ってご存知ですか?
『雷ナウキャスト』は、雷の激しさや雷の可能性を1km格子単位で解析し、その1時間後(10分~60分先)までの予測を行うもの。
10分毎に更新されているので、稜線上で雲が見えて気になったらチェックするのも良いかと。
こんな↓感じで、4段階で危険度を確認できます。
ただし、電波が通じていないと使えないので、最近はこんな↓機器も発売されています。
登山の雷対策❺ それでも、雷に遭遇したら。。。
直ちに稜線を降りて自分が一番高くならない様にする
まずは少しでも安全なところへ避難することが最重要。
それができなければ『雷しゃがみ』の姿勢をとる
『雷しゃがみ』とは、こんな↓風に、両足を閉じて耳は両手でふさぐ姿勢です。
高い木から4m以上離れて保護範囲に入る(側撃の回避)
意外かもしれませんが、落雷での死傷事故の多くは、木の下での雨宿り中に起きています。
その原因は『側撃』(高い木に落雷し近くにいる人に電流が流れ感電すること)。
なので、上の図の様に、木から4m以上離れた保護範囲に入りましょう
人と人の間隔も4m以上あける(側撃の回避)
『側撃』は木だけじゃありません。
くっついていると、誰かに落ちてしまった場合、近くにいる人にも側撃して、被害が大きくなる。
パーティで歩いている時や『雷しゃがみ』の姿勢をとっている時も間隔を4m以上あけたほうがいい。
まとめ
以上、雷に遭遇した体験談から学んだ”雷とばったり遭遇する確率を下げる”ことを紹介しましたが、いかがでしたか?
雷の遭遇した時の恐怖とか二度と味わいたくないですもんね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。