こんにちは、山キャン情報室 管理人の亀太郎です。
エルブルス山は七大陸最高峰の一つといわれてます。
でも、エベレストなどに比べるとあまり知られてないですよね?
ここでは、ヨーロッパ大陸最高峰の『エルブルス山』は七大陸最高峰といっていいのか、ヨーロッパのモンブランと比較して徹底調査したので紹介します。
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登山歴:2007年~キャンプ歴:1995年~ - 九州の大学卒業後、愛知県の自動車会社で車体構造の研究に従事する傍ら、1995年からデスクワークのストレス解消にオートキャンプを始める。
2007年からは、「山頂でテント泊をしたい」との単純な発想から、登山を独学で学び(一時期、山岳会に所属)、今はソロテント泊主体に活動中。
そんな経験もふまえ、大手メディアでは取り扱っていないノウハウや小ネタ情報を発信しています。
エルブルス山とは?
どんな山?
エルブルス山は黒海とカスピ海の間の5000メートル級の山が連なるコーカサス山脈の最高峰で鹿島槍のような双耳峰。
標高は5642 mありロシア連邦の最高峰。
地理的にはヨーロッパとアジアの境界(ジョージアとの国境付近)に位置するため、ヨーロッパ最高峰といわれてます。
このことが、七大陸最高峰論争につながってきますが、後で紹介しますね。
名前の由来と伝説
名前の由来として一番有力なものが、ペルシャ語で”高い山”を意味する「Elburz」。
エルブルス山は鹿島槍のような双耳峰ですが、これにはこんな↓伝説が。
この地にはエルブルスという王様とその王子がいました。
王子は美しい娘に恋しますが、なんと王様が娘を奪い取ろうとします。
最終的に王様と王子の一騎打ちになり、その結果、王様は頭を二つに割られ、現在のエルブルス山の双耳峰の形につながったとか。
壮絶な伝説です。
登頂の歴史
双耳峰の2つの頂上のうち、東峰は1829年にロシア軍・科学調査隊のガイドが初登頂。
東峰と3km離れている西峰には1874年にイギリス探検隊が初登頂。
初登頂じゃありませんが、登頂の歴史で有名なのがブラウ作戦で、こんな↓感じです。
第二次世界大戦中の1942年、ブラウ作戦で南下してきたドイツ軍のA軍集団指揮下の山岳部隊が登頂したが、ソ連軍の山岳部隊と交戦となる。
ドイツ軍は1942年末にはこの地域から撤退し、山頂に残っていたドイツ国旗はソ連軍の山岳部隊により撤去されたそうです。
そんなエルブルス山ですが、モンブランとの七大陸最高峰論争でよく知られていますので、次に紹介します。
『エルブルス山』 vs 『モンブラン』の七大陸最高峰論争
かつては、ヨーロッパの最高峰はモンブラン(4810 m)とされていたが、東西冷戦の終結の後、旧ソビエトへの登山が増え、現在は登山家の間ではヨーロッパ最高峰はエルブルス山とするのが一般的。
しかし、エルブルス山のある地域は商業・人的交流・文化などの面でヨーロッパよりもむしろアジアに近く、エルブルス山の代わりにモンブランを入れるべきとする批判もあるようです。
モンブランを旧ヨーロッパ、エルブルスを新ヨーロッパとして七大陸ではなく八大陸とする考えも。
では、その登山難易度はどれくらいなのか?
次に、エルブルス山とモンブランの登山難易度を調べたので紹介します。
エルブルス山(5642m)の登山難易度
標高3800mのガラパシ小屋まではロープウエイとリフトで行ける
麓からロープウェイとリフトを乗り継いで標高3800mのガラパシ小屋まで行けます。
ガラパシ小屋は上の写真にあるように大きなドラム缶のような客室で、観光客も多いようです。
さらに、標高4700m付近までは雪上車で移動可能で、七大陸最高峰の中でも登りやすい山とされています。
天候良くてルートさえ外れなければ難易度はさほど高くないらしい
夏季には1日に100人を超える多くの登山者が入山しているそう。
もちろんアイゼンは使う必要ありますが、天候さえ良ければ単純な雪上歩行なのでルートを外れないよう注意すれば困難な個所はないようです。
なのでエルブルース登頂を謳ったガイド付きのこんな↓ツアーは非常に人気があるようです。
ヨーロッパ最高峰、エルブルースの登山ツアーです。ルートの大半が単純な雪上歩行なので技術的には難しくありませんが、5,000mでのアイゼン行動が長く、6,000m峰とほぼ同等レベルです。
ただし、ガイド登山でも大きな遭難事故が
しかし、2021年に19人の登山ツアーのグループが頂上直下の標高5400m地点で悪天候に見舞われ救助要請をする事態となり、5名が命を落とす事故が発生しました。
原因は登山ガイドが天候の変わりやすさを見誤ったことと、悪天候にも関わらず無理やり登頂を目指す人がいたなど、登りやすいといっても5000m峰であり、常に危険と隣り合わせであることは忘れてはいけないようです。
登山者の命を守ってくれるのはガイドさんですが、現状は誰でもガイドを名乗れるそうで。。。これが、問題だとの意見があるそうです。個人的にもありえない大問題だと思います。
モンブラン(4810m)の登山難易度
現在、モンブランは年間約2万人の登山者によって登頂されており、熟練した登山者にとっては難易度はそれほど高くない。
ただ、登頂には、高々度における登山の知識、ガイド(もしくは熟練の登山者)、そして十分な装備が不可欠。
標高3777mまではロープウエイで行ける
標高3777 m地点まではロープウェーで登ることができるので、そこまでは観光気分でもいいようです。
これって、なぜか、不思議にエルブルス山と全く同じ!!
標高4304mにあるグーテ小屋まで危険地帯あり
ロープウエイの終点から標高4304mにあるグーテ小屋までが、第一の関門。
クーロワールという谷になっている地形のトラバース危険地帯があり、ここで毎年亡くなる方が出るそう。
ただ、その先にあるグーテ小屋は2013年にオープンした近未来的な小屋は素晴らしく、登山者で賑わっているようです。
建物自体は木造ですが、全体の形が卵を横にしたような楕円。
外壁はステンレスで覆われているので、SF映画に出てくる基地のよう。
使用される電気は屋根の部分と外壁に設置された太陽光発電で賄われており、収容人数は150人。
TVで見ましたが、夕食はコース料理の様でトイレは水洗でしたよ。
一度は泊まってみたいところですね。
グーテ小屋からのアタックは天候に左右される
グーテ小屋からのアタックは暴風や吹雪になるとガイド登山は中止となるため、登頂成功率は3割程度とのこと。
山頂近くは、きつい傾斜の登りやナイフリッジが続き、風速は20〜30mが普通だそうで、アタック時の天候を祈るのみかもしれません。
ガイドツアーはこんな↓感じで募集しているようです。
ヨーロッパアルプス最高峰モンブラン登山ツアーのご案内です。 利用航空会社によって、9日間と10日間のプランがあります。
どっちが七大陸最高峰?
エルブルス・モンブラン共に富士山と同じ標高の3800m地点まではロープウエイを使って行けることや登頂には天候に左右されることなど、両者とも同じ。
標高で考えるとエルブルス山ですが、モンブランもグーテ小屋含め魅力的な山。
どちらが七大陸最高峰なのか議論する方が間違いなのかもしれません。
なので、七大陸最高峰ではなく、モンブランを旧ヨーロッパ大陸・エルブルス山を新ヨーロッパ大陸とした八大陸最高峰とする方がしっくりくる様な気がします。
まとめ
以上、ヨーロッパ大陸最高峰の『エルブルス山』は七大陸最高峰といっていいのか、ヨーロッパのモンブランと比較して徹底調査したので紹介しましたが、いかがでしたか?
結論は出ませんでしたが、エルブス山・モンブランとも魅力的な山であることは間違いない様です。
最後まで読んでいただきありがとうございます。